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「資産(不動産)の流動化・証券化」「信託受益権」といった言葉をよく耳にします。これまでファンドビジネスを中心とした取引により、流動化(証券化)され、現在、不動産信託受益権として保有されている不動産は数多くに上ります。特に、不動産ファンドの大型取引の多くは、この信託受益権がからむものでした。昨今、サブプライム問題等により調整局面を迎えているものの、不動産金融市場はこれまで急速に発展してきており、今後も不動産流動化・証券化のしくみが利用された取引は広く行われていくものと予測されます。このような背景の下、平成19年9月30日には金融商品取引法(以下、「金商法」という。)が施行され、この不動産信託受益権は、金商法第2条第2項有価証券の「みなし有価証券」として位置づけられ、取引にあたり金商法による諸規制を受けることになりました。そのため、金融商品である不動産信託受益権の取引を業として媒介等する場合には、第二種金融商品取引業の届出が必要となります。
もくじここでは、まず信託受益権がどういうものなのかご説明します。
信託受益権とは、簡単に言えば次のようなものです。 資産そのものを売買(1)する場合、資産の所有権が売主から買主へ譲渡されます。これが、従来の不動産売買の一般的な形態であるといえます。 一方で、「資産をいったん信託銀行などに信託し(2)、それによって取得した、その資産から発生する経済的利益(賃料収入など)を受け取る権利(3)を売買(4)する」という取引形態が昨今増加しており、これを資産の流動化といいます。
そして、その「資産から発生する経済的利益を受け取る権利」のことを信託受益権といいます。なお、信託受益権を保有する者(受益者)は、信託法、信託業法及び信託契約の定めに従って、受託者に対して一定の義務を負うことがあります。
通常の不動産売買と信託受益権売買とのちがい(概略図)


ここでは、不動産信託の具体的なしくみについて解説します。
不動産信託の基本的なしくみ

委託者※1(不動産所有者)が受託者※2(信託銀行等)に不動産を信託します。
委託者は、受益権※3を取得し、受益者※4となります。
受託者は、受益者の指示により以下(2)〜(7)を行います。
受託者は受益者の指示により、信託財産の管理運用を行います。不動産信託についていえば、受託者が信託財産としての不動産の管理運用を自ら行なうことは稀で、通常は、不動産管理業者に、その管理運用が委任されます。
信託財産としての不動産が稼動中の賃貸物件であれば、受託者又は委任を受けた業者は、テナントの募集、賃貸借契約の締結等を行います。
受託者は、信託財産より生じる収益を受領します。
受託者は、信託財産より生じた収益から、信託報酬や公租公課、管理費・積立金等の必要経費を控除した残額を受益者に分配します。
信託終了後、信託の目的(信託契約に明示されます。)に信託財産の処分が含まれている場合は、受託者は信託財産を売却し、売却代金から必要経費を控除したものを元本の受益者に返還します。信託の目的に信託財産の処分が含まれていない場合は、受託者は元本の受益者に現状有姿(敷金等の返還債務を含む)で返還します。
用語の解説
※1 委託者 財産を所有し、その財産を一定の目的を付して受託者に引き渡す者
※2 受託者 信託を受け、信託財産を信託の目的に従って管理・運用・処分する者
※3 受益権 信託に基づいて経済的利益を享受する受益者の権利
※4 受益者 信託財産から生じた経済的利益を享受する者
ここでは、信託受益権売買のパターンについて解説します。
信託受益権売買の基本パターン




信託受益権売買と実物不動産売買とでは多くの相違点があります。いままで見てきた点も含めて、まとめてみます。
信託受益権売買と実物不動産売買とのちがい
| 不動産信託受益権の売買 | 実物不動産の売買 | |
|---|---|---|
| 商品特性 | みなし有価証券(金融商品) | 不動産(物権) |
| 関連法令 |
金融商品取引法 金融商品の販売等に関する法律 他 |
宅地建物取引業法 他 |
| 免許 | 第2種金融商品取引業(登録) | 宅地建物取引業 |
|
購入希望者の 商品知識 |
一般消費者には金融商品取引に関する知識は浸透していない。 | 一般消費者であっても、例えば居住用不動産であれば、ある程度の予備知識はある。 |
| 流通課税 |
・不動産取得税:非課税 ・登録免許税 信託:評価額×2/1000 移転:非課税 受益者変更:一件1000円 ・売買契約書の印紙税:200円 |
・不動産取得税:評価額×3/100又は4/100 ・登録免許税 所有権保存:評価額×4/1000 移転(土地):評価額×10/1000 移転(建物):評価額×20/1000 ※上記は軽減措置等適用後の税率 ・売買契約書の印紙税:契約金額による |
信託受益権売買に特有の取引行程
信託受益権売買では、実物不動産の売買とは異なる以下のような取引行程があります。
信託受益権の売買には、実物不動産の取引・保有に際して生ずるリスクに加えて、特有のリスクがあります。
実物不動産・信託受益権の売買に関するリスクは、以下に限られず、実物不動産の個性・信託契約の内容によっても異なりますので、詳細は必ず担当者にご確認ください。
実物不動産の価格変動リスク
不動産の価格は、不動産マーケットの取引価格や賃料変動の影響を受け、販売時の価格より減少する場合があります。
不動産の処分時の価格によっては投資元本を割り込むことがあります。
不動産の空室率、賃料の変動、テナントの変更・信用状況の変化、必要経費や公租公課の変動により、収益の減少や、投資元本を割り込むおそれがあります。
その他、以下のような事情によって、不動産から得られる収益が減少し、又は不動産の価値が下落することがあります。
実物不動産の価格変動リスク
上記のような実物不動産に関するリスクは、信託受益権を通じて、全て受益者に帰属することになり、実物不動産を保有する場合とほぼ同様のリスクを負担することになります。これらに加えて、信託受益権特有のリスクとして以下のようなリスク事項があります。
受託者が信託事務の遂行に際して被った損害については、信託財産から支弁を受け又は受益者にその賠償を請求することができます。このため、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、受益者は損害を被るおそれがあります。
通常、受託者の事前承諾がなければ、受益者は信託受益権の譲渡・質入等の処分ができません。また、不動産信託受益権は、株券などの流動性の高い有価証券ではありませんので、相対的に流動性(処分可能性)が低いものといえます。 なお、通常、信託契約には期間が設けられており、その期間中、受益者からの解除は原則としてできません。このため、受益者が、実物不動産の保有を欲する時期に、実物不動産を保有できない可能性があります。
信託契約上、受託者の権限に制限がある場合や受託者の業務懈怠がある場合、又は、受託者が破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他の倒産手続を開始した場合、信託財産に不測の損害が生じ、その結果、受益者が損害を被るおそれがあります。
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